令和4年長野県公立高校入試問題 理科 問2Ⅱ解説
重そうなどをふくむベーキングパウダーは、加熱することで物質が分解され、発生する気体によりお菓子などの生地をふくらませることがわかった。そこで、重そうと2種類のベーキングパウダーA、Bについて調べ、表1にまとめた。
表1
重そう | ベーキングパウダーA | ベーキングパウダーB | |
見た目のようす | 白色であらい粒子 | 白色で細かい粒子 | 白色で細かい粒子 |
粉末100gにふくまれる重そうの質量(g) | 100 | 25 | 57 |
粉末を加熱したときに発生する気体 | 二酸化炭素 | 二酸化炭素 | 二酸化炭素、アンモニア |
(1)表1より、重そう(NaHCO₃)を加熱すると二酸化炭素が発生する。この化学反応について、次の化学反応式のあ、いに当てはまる物質の化学式を書きなさい。ただし、あ、いの順序は問わない。
重そうは、別名炭酸水素ナトリウム(NaHCO₃)と言い、これを加熱すると炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)、水(H₂O)、二酸化炭素(CO₂)の3つに分解されます。この時の化学反応式は次のようになります。
つまり答えは、Na₂CO₃,H₂Oとなりますね。
(2)表2は,重曹の質量と十分に加熱したときに発生する二酸化炭素の体積を示している。重そう1.0gを30秒加熱したところ,66㎤の二酸化炭素が発生した。分解された重そうは何gか,小数第3位まで書きなさい。
表2
分解される重そうの質量(g) | 2.1 | 4.2 | 6.3 |
発生する二酸化炭素の体積(㎤) | 280 | 560 | 840 |
表2を見ると、分解される重そうの質量(g)と、発生する二酸化炭素の体積(㎤)は、比例関係にあることがわかります。このことから、
分解される重そうの質量(g): 発生する二酸化炭素の体積(㎤)
の比は常に等しくなります。よって66㎤の二酸化炭素が発生したときに分解された重そうの質量をx(g)として比例式をつくるとx:66=2.1:280となるので、これを解いてx=0.495となります。
(答)0.495g
(3)表1より,ベーキングパウダーBを加熱すると二酸化炭素とアンモニアが発生する。
ⅰ-発生する気体から効率よくアンモニアを集める方法として最も適切なものを、次のア~ウから1つ選び、記号を書きなさい。またその方法で集めると二酸化炭素はほとんどふくまれないが、その理由を簡潔に書きなさい。
ア 水上置換法
イ 上方置換法
ウ 下方置換法
下の図1のように、気体を集める方法はその気体の性質によって変わってきます。
アンモニアは、水に溶けやすく、空気より軽いという性質をもっていますので,上方置換法が適しています。
一方で、二酸化炭素は水に少し溶け、空気より重いという性質をもっています。よって二酸化炭素を集めるのに適しているのは下方置換法です。(水上置換法でも集められます。)
二酸化炭素は空気より重いため、アンモニアと同じ上方置換法では集めることができません。
図1
(答) 方法:イ 理由:アンモニアは空気より軽く,二酸化炭素は空気より重いから
- 酸素・水素・アンモニア・二酸化炭素の発生のさせ方をあわせて一度確認しておくとよりよいですね。
ⅱ-ⅰで集まっている気体がアンモニアであることを確かめる方法として適切なものを,次のア~オから2つ選び,記号で書きなさい。
ア 気体の色やにおいを確かめる。
イ 気体を集めた容器に火のついた線香を入れ,燃え方を確かめる。
ウ 気体を集めた容器に塩化コバルト紙を入れ,色の変化を確かめる。
エ 気体を集めた容器に水でぬらした青色のリトマスを入れ,色の変化を確かめる。
オ 期待を集めた容器に純粋な水とBTB溶液を入れてよくふり,色の変化を確かめる。
アンモニアは無色で強い刺激臭があります。
また水に溶けるとアルカリ性の性質をもつアンモニア水となり、これにBTB溶液を加えると青色に変化します。
イは、酸素(激しく燃える)、ウは、水(赤色に変化する),エは、水に溶けると酸性の水溶液になる気体(赤色に変化する)を確かめるのに適しています。
つまり答えは、ア、オとなりますね。
- 酸・アルカリに関するものは、リトマス紙やBTB溶液の色の変化・フェノールフタレイン溶液の色の変化、さらにpHも確認しておくとより理解しやすいよ。