令和4年長野県公立高校入試問題 数学問2 (2)解説

標本調査の問題 チャレンジしてみよう!

問題

夏さんのクラスでは、ある池のコイの総数を調査しようと考え、すべてのコイをつかまえずに標本調査を利用した次の方法で、コイの総数を推定した。

【方法】
手順1 図2のように、コイを何匹かつかまえて、その全部に印をつけて池にもどす。
手順2 数日後、図3のように、無作為にコイを何匹かつかまえる、つかまえたコイの数と印のついたコイの数をそれぞれ数える。
手順3 手順1、2をもとに、池にいるコイの総数を推定する。

令和4年長野県公立高校入試問題

手順1でコイを50匹つかまえて、その全部に印をつけて池にもどした。手順2で30匹つかまえたところ、印のついたコイの数は9匹であった。
(1)池にいるコイの総数を推定し、一の位の数を四捨五入した概数で求めなさい。

標本調査を行うとき、調査の対象となるもとの集団を母集団、取り出した一部の集団を標本といいます。
この問題では、池にいるコイが母集団、池から無作為につかまえた30匹のコイが標本となりますね。

そして、
(母集団のコイの総数):(母集団の印のついたコイの数)=(標本のコイの総数):(標本の印のついたコイの数)
という比例式から、母集団のコイの総数を推定します。

池のコイの総数をx匹とおき、母集団と標本それぞれのコイの総数と印のついたコイの数をまとめると、以下の表のようになりますよね。

令和4年長野県公立高校入試問題

表から比例式をつくるとx:50=30:9 となり、これを解くとx=166.66…。
一の位の数を四捨五入した概数で求めるので、170。
よって池のコイの総数は170匹と推定できます。

・一度、図や表にまとめてあげると情報が整理されて、考えやすくなるよ。

問題

(2)身の回りには、標本調査を利用しているものがある。標本調査でおこなうことが適切であるものを、次のア~エからすべて選び、記号を書きなさい。
ア 新聞社がおこなう国内の有権者を対象とした世論調査
イ 国内の人口などを調べるためにおこなわれる国勢調査
ウ 学校でおこなう生徒の歯科検診
エ テレビ番組の視聴率調査

標本調査とは、集団の一部を対象として調査することをいいます。
一方で、集団のすべてを対象として調査することを全数調査といいます。
では、問題のア~エの調査が全数調査、標本調査のどちらで行われるか考えていきましょう。

ア 新聞社がおこなう国内の有権者を対象とした世論調査
有権者とは主に選挙権を持つ人のことを言います。世論調査では、こういった人々の政治などに関する意見を調査します。これは国内のすべての有権者を対象におこなわれるものではありませんので、標本調査になりますね。

イ 国内の人口などを調べるためにおこなわれる国勢調査
国勢調査は5年ごとに、国内すべての人及び世帯を対象におこなわれる国の最も重要な統計調査です。よってこれは全数調査になります。

ウ 学校でおこなう生徒の歯科検診
学校でおこなう生徒の歯科検診は、学校の生徒全員を対象に行われます。一部の生徒のみに歯科検診をおこなうということはないので、これは全数調査になりますよね。

エ テレビ番組の視聴率調査
テレビの視聴率調査は、一部の人や世帯を対象におこなわれます。国内の全世帯・人に対しておこなわれるわけではないので、これは標本調査になりますね。

したがって、解答は、ア、エ となります。