長野県公立高校入試理科の解き方【問4】
長い橋では、図1のように、高い塔から張られたケーブルで橋げたを支える構造が多い。塔の間にあるケーブルが橋げたを引く力と塔の間隔や高さとの関係を調べるため、次の実験を行った。ただし、実験で用いた糸やばねの質量は考えないものとし、質量100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとする。
【実験1】
① おもりをつるしていないときの長さが6.0cmで、10gのおもりをつるすごとに1.0cmのびる、ばねA,Bを用意した。
② 支柱を2本用意し、高さを30cmに固定した。
③ A,Bにそれぞれ糸をつけ、図2のように、200gのおもりをつるした。糸の長さを調整し、支柱と支柱の中間点で、床から10cmの高さになるようにした。
④ おもりが静止したときのA,Bそれぞれの長さと、A,Bの間の角度をはかった。
⑤ 支柱の間隔を変えて、③、④と同様の操作を行い、結果を表1にまとめた。
【実験2】
図2で、支柱の間隔を70cmに固定し、支柱の高さを変えて、実験1の③、④と同様の操作を行い、結果を表2にまとめた。
表1
支柱の間隔(cm) | 40 | 50 | 60 | 70 |
Aの長さ(cm) | 20.1 | 22.0 | 24.0 | 26.2 |
Bの長さ(cm) | 20.1 | 22.0 | 24.0 | 26.2 |
AとBの間の角度(°) | 90 | 103 | 113 | 121 |
表2
支柱の高さ(cm) | 30 | 50 | 70 | 90 |
Aの長さ(cm) | 26.2 | 19.3 | 17.6 | 16.9 |
Bの長さ(cm) | 26.2 | 19.3 | 17.6 | 16.9 |
AとBの間の角度(°) | 121 | 82 | 61 | 47 |
(1)問題
実験1で、つるしたおもりが静置しているとき、重力の逆向きにはたらく2Nの力をかきなさい。ただし、1目盛りを1Nとし、力の大きさと向きを矢印で書き、作用点は●でかくこと。
重力は物体に対し、右記のようにはたらいています。
*重力は、常に一定で、おもりの中央から下向きの力になります。
1目盛り1Nとなるので
2目盛りで2Nになります。
重力の逆向きを作用点からかくと、同じ2Nのちからは右記のようになります。
(2)問題
表1で、支柱の間隔が40㎝のとき、Aがおもりを引く力の大きさは何Nか。小数第2位を四捨五入して、小数第1位まで書きなさい。
表1のデータ
支柱の間隔(cm) | 40 |
Aの長さ(cm) | 20.1 |
Bの長さ(cm) | 20.1 |
AとBの間の角度(°) | 90 |
実験1の①より、おもりをつるしていないときのばねの長さは6cmで、10gのおもりをつるすごとに1.0cmのびる ばねA,Bと記載してあるので
ばねA,Bはそれぞれ同じ能力を持ち、質量100gを1Nとして計算すると、10gは0.1Nに相当するので0.1Nで1.0㎝のびる計算になります。
表1のデータより、支柱40cmのときはA,Bそれぞれ同じ長さになっておりのびの長さ=のびた後の長さ―おもりをつるしていないときの長さ
=20.1cm-6.0cm=14.1cmとなります。
Aがおもりを引く力をxNとすると比例計算より、0.1N:1.0cm=xN:14.1cm
x=0.1×14.1=1.41N 小数第2位を四捨五入して x=1.4Nになります。
ポイント!
ばねののびは、空中において、どのような角度でも(斜め、水平状態)力の大きさに比例して伸びる性質があります。
答え 1.4N
(3)問題
長い橋では、塔の間隔が広くなると、塔を高くして橋げたを支えていることが多い。その理由を表1,2から考えた。
(ⅰ)ケーブルが橋げたを引く力の大きさは、塔の間隔が広くなることと、塔の高さが高くなることについて、それぞれどのような関係になっているか、簡潔に書きなさい。
(ⅱ)支柱の間隔や高さを変えたとき、AとBのおもりを引く力の大きさが小さくなる条件に共通していることは何か、簡潔に書きなさい。
表1
支柱の間隔(cm) | 40 | 50 | 60 | 70 |
Aの長さ(cm) | 20.1 | 22.0 | 24.0 | 26.2 |
Bの長さ(cm) | 20.1 | 22.0 | 24.0 | 26.2 |
AとBの間の角度(°) | 90 | 103 | 113 | 121 |
答え
表1を見ると塔の間隔を広くすることで、力の大きさは大きくなっている。
表2
支柱の高さ(cm) | 30 | 50 | 70 | 90 |
Aの長さ(cm) | 26.2 | 19.3 | 17.6 | 16.9 |
Bの長さ(cm) | 26.2 | 19.3 | 17.6 | 16.9 |
AとBの間の角度(°) | 121 | 82 | 61 | 47 |
答え
表2を見ると塔の高さを高くすることで、力の大きさは小さくなっている。
表1
支柱の間隔(cm) | 40 | 50 | 60 | 70 |
Aの長さ(cm) | 20.1 | 22.0 | 24.0 | 26.2 |
Bの長さ(cm) | 20.1 | 22.0 | 24.0 | 26.2 |
AとBの間の角度(°) | 90 | 103 | 113 | 121 |
表2
支柱の高さ(cm) | 30 | 50 | 70 | 90 |
Aの長さ(cm) | 26.2 | 19.3 | 17.6 | 16.9 |
Bの長さ(cm) | 26.2 | 19.3 | 17.6 | 16.9 |
AとBの間の角度(°) | 121 | 82 | 61 | 47 |
表1,2の力の大きさが小さくなる方向と角度の関係を見ると、いずれも角度が小さくなるほど、ばねののびは小さくなっているので、力の大きさは、幅や高さに関係なく、AとBの間の角度が小さくなると、A,Bのばねののびは小さくなることがわかります。
合力、分力の関係図で説明すると下記のようになります。
同じおもりの場合、重力に逆向きの力が作用点に同じ大きさではたらき、その分力を赤い矢印で作図するとAとBの間の角度が小さいときは、大きいときと比べ、分力は短くなります。
短くなった分、ばねののびは小さくなります。
答え AとBの間の角度が小さくなる。
(4)問題
支柱の高さを、図3のようにした。このとき、Aがのびた長さと、Bがのびた長さの関係を説明したものとして
最も適切なものを、次のア~ウから一つ選び、記号を書きなさい。
ア Aがのびた長さは、Bがのびた長さよりも短い。
イ Aがのびた長さは、Bがのびた長さよりも長い。
ウ Aがのびた長さは、Bがのびた長さは等しい。
左の図の合力と分力の関係図より分力Aは分力Bよりも短くなるので
Aの方がBよりものびは短くなります。
答え Aがのびた長さは、Bがのびた長さよりも短いので答えは(ア)になります。
- こんな授業を体験してみたい方はこちら↓